引き続き、世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏の、The Diary of A CEOによるインタビューである。
今回は、ダリオ氏が若い人に仕事選びのアドバイスを送っている箇所を紹介したい。
仕事を選ぶ方法
金融市場や世界経済についての様々な予想で有名なダリオ氏だが、ダリオ氏は『PRINCIPLES 人生と仕事の原則』という仕事や人生についての本も書いている。
インタビューでもそういう話をすることは多く、今回は仕事を選ぼうとしている若者に対して次のようなアドバイスを送っている。
仕事を選ぶときには、あなたに仕事を教えてくれる最良の人々、学びをくれる師匠と思える人がいる仕事を選ぶべきだ。
最良というのは、素晴らしい人格と素晴らしい能力を持っているということだ。
特に、新卒の若者にとって、最初の仕事というものは非常に重要なものだろう。最初に足を踏み入れた業界が、その人にとって人生の仕事になることが多い。しかもそこで学んだ仕事のやり方が、今後の仕事のやり方を決める第一歩になるわけである。
だが、多くの若い人は、まだ経験したことがないので当然だが、この観点をあまり理解していない。
ダリオ氏は次のように述べている。
仕事は人で選ぶべきで、給料の高さで選ぶべきではない。
給料か環境か
ダリオ氏の言っていることは、特に社会人になって数年以内の若者には一番よく当てはまることだろう。
どの時代でも、若い人々にはある程度仕事を給料で選ぶ傾向が見られるように思う。新卒の人々でさえそうだろう。
だが、もっと大人になれば分かることだが、新卒時の給料などその後の給料の変化に比べれば心底どうでもいいことだ。新卒のときに選ぶ「業界」の平均年収がその後の給与の上昇率に影響を与えることは認めるとしても、最初に働く会社で給料をいくらもらえるか、その会社の給与が同業他社の新卒の賃金に比べてどうかなどということは、その後の給料の変化を考えれば、微々たる話なのである。
そして、その後のキャリアで給料がどうなるかは、新卒でいくら給料をもらっていたかではなく、新卒の頃から自分がどれだけ学び、どれだけ優れた人材になれるかにかかっている。多くの若い人々が見逃している点はここにある。
だからダリオ氏は、特に若い人に向けて、仕事は給料ではなく自分がどれだけ学べる環境かで選ぶように言っているのである。
ダリオ氏は次のように言っている。
まだ若いときにやるべき一番大事なのは、学ぶこと、経験を積むことだ。
優れた人材になってしまえば、給料など後でどれだけでも上昇するからである。だが例えば、学生に人気の外資コンサルなどで下働きの社員になってパワーポイントの腕をどれだけ磨いても、優れた人材にはなれないだろう。
結論
ちなみにだが、ダリオ氏自身が若い頃の仕事でどれだけ多くを学んだかについては、以下の記事で紹介している。
ダリオ氏の著書『PRINCIPLES 人生と仕事の原則』には、他にもダリオ氏の若い頃の話や、Bridgewaterにおける他の社員との軋轢なども隠さず書いているので、興味のある人はそちらも参考にしてもらいたい。