「欧州の債券市場」カテゴリーアーカイブ

ギリシャ国民投票はどうなるか?: 国民投票後の投資戦略

現在の金融市場では、株は高過ぎ、しかし空売りするには早すぎ、債券はバブルであり、為替はイベントがなく、金の買い場はまだ先であるという、グローバル・マクロの投資家にとって日照り続きの状況にあるが、ギリシャの国民投票をめぐる市場の混乱が事態を少し打開するのではないかと考えている。

国民投票は現地時間の7月5日に行われる。本稿では国民投票が債権団の提案に賛成した場合、反対した場合にそれぞれ何が起きるのかを纏め、それぞれの場合にどう投資すべきなのかを記しておきたい。

事前の調査では賛成と反対が拮抗

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ギリシャデフォルト懸念で円高: ドル円、株式市場、債券市場はどうなるか?

ギリシャが債権団の要求を飲むかどうかについて国民投票を行うと発表したことを受け、ギリシャのデフォルトが現実的となり、日本市場ではリスクオフの円高・株安となっているが、先ずドル円については120円を下回れば買いである。

ギ リシャの経済規模はあまりに小さく、ユーロ圏の1.7%であり、遠く離れた日本の金融市場は勿論、ユーロドルやユーロ圏経済のファンダメンタルズ自体に影響を与えることはできない。したがって、ドル円に関する見方は変わらず、以前書いた通り、115-120での買いは長期的に報われる可能性があるというこ とである。 続きを読む ギリシャデフォルト懸念で円高: ドル円、株式市場、債券市場はどうなるか?

債券王ビル・グロス氏がドイツ国債空売りに失敗した理由

2015年の4月末からユーロ圏の債券が軒並み下落したことについては前回の記事で述べたが、そのさなかに話題になったのが、著名債券投資家のビル・グロス氏の「ドイツ国債は一生に一度の売り場」発言である。

この発言は見事に的中し、発言のすぐ後、10年物のドイツ国債の利回りは0.1%から1%まで急上昇(価格は下落)したわけだが、あまりに時期ぴったりに当たりすぎたため、グロス氏自身はポジションを取り損ね、利益を得られなかったようである。彼の所属するジャナスによれば、同期間の彼の運用実績はマイナスとなっている。

わたし自身も、ドイツ国債が利回り0.1%に達したとき、割高だと考えながら空売りに踏み切らなかった一人であるから、彼の考えていたことが良く分かる。これはグロス氏だけでなく、多くの優れた投資家にとって意外なシナリオだったのである。 続きを読む 債券王ビル・グロス氏がドイツ国債空売りに失敗した理由

ドイツだけが量的緩和バブルを軟着陸させられるかもしれない

ギリシャなどが無茶な要求を始めたことで、ユーロ圏におけるドイツの負担は日々増しているように見えるが、それでも最終的に利益を得るのは経済が強いドイツである。

何度も書いてきたように、量的緩和とは中央銀行が国債などリスクの低い証券を買い占めることで、家計や保険会社などを国債市場から追い出し、社債や不動産、株式など、よりリスクの高い証券に資金を移させるポートフォリオ・リバランス政策である。

これは、量的緩和が行われている限りは、流動性が潤沢な債券市場から株式市場へと資金が溢れ出てくる構図となるが、中央銀行が債券市場から撤退するや否や、債券と株式が資金を求めて争い合う綱引きの様相となり、したがってこのバブルのツケは何処かの市場がいずれ払わなければならない。 続きを読む ドイツだけが量的緩和バブルを軟着陸させられるかもしれない

ECBの量的緩和までの経緯と、金融市場の反応を2014年1月から総ざらいする

2015年1月22日にECB(欧州中央銀行)が量的緩和を発表したことにより、ユーロ圏の金融市場は新たな緩和相場で賑わっている。個人投資家にはユーロ圏の量的緩和が最近のニュースだと考えている人もいるかもしれないが、機関投資家のなかでは2013年頃から既に話題になっていた事柄であり、その頃からフォローしてきた身としては、ようやく実現したという感想である。

事実、市場が量的緩和を織り込み始めたのは2014年の1月であり、そこから債券、株式、為替など、色々なものが順番に上昇・下落してきた。金融緩和が起こるときに市場はどう反応してゆくのかという説明も兼ねて、この1年間の相場の動きを時系列順に見ていきたい。 続きを読む ECBの量的緩和までの経緯と、金融市場の反応を2014年1月から総ざらいする

ECBの会合前に見るユーロ、ドイツ国債、不動産株

日本時間で5日の20時45分からECB(欧州中央銀行)の金融政策決定会合が予定されている。この会合は、前回の会合でドラギ総裁が金融緩和の可能性に言及したことで非常に注目されている。 続きを読む ECBの会合前に見るユーロ、ドイツ国債、不動産株