「日本の株式市場」カテゴリーアーカイブ

日銀追加緩和: マイナス金利の実体経済への影響、ドル円と株式市場はどうなるか?

2016年1月29日、日銀は金融政策決定会合にてマイナス金利の導入を決定した。これまでの量的緩和政策に変更はなく、金融緩和としてマイナス金利を追加したものとなる。取り急ぎではあるが、株式・為替市場と実体経済にどのような影響があるかを列挙してみよう。

先ず、量的緩和を使おうと、マイナス金利を使おうと、日銀に出来ることは以下の2つしかない。 続きを読む 日銀追加緩和: マイナス金利の実体経済への影響、ドル円と株式市場はどうなるか?

世界の金融市場のチャートを見る: 利上げ前にドル急落、株安、原油安、金はやや反発

奇妙な動きだが、だからこそ注目しなければならない。

ECB(欧州中央銀行)の利下げが市場の期待に届かなかったこと、そしてOPECが原油減産で同意できなかったことを受け、世界中の金融市場が荒れている。

米国利上げ前にドルが急落、しかもドルが急落しながらドル建ての原油が更に急落するという原則に反した動きだが、そこには意味があるのである。先ずは最近の下落の発端となった原油安から見てゆこう。

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日本郵政の株式新規上場は割安か割高か?: 3社の財務諸表を比較する

日本郵政3社のIPOが近づいている。個人的にはほとんど興味が無いのだが、一応決算書類を調べはしたのでその結果を共有しておきたい。株価や評価額を抜きにして、今回上場する3社が企業として魅力があるかと聞かれれば、魅力はないというのが答えだが、順を追って説明しよう。

先ず、日本郵政とは日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の持株会社であり、今回上場するのは持株会社である日本郵政と、その子会社であるゆうちょ銀行およびかんぽ生命である。郵便サービスを担当する日本郵便は法律で売れないことになっており、今回の3社のIPO後も親会社の日本郵政が100%保有する。

したがって本稿では今回上場される3社の財務状況を比較するが、3社いずれも一番の問題は売上高が下降傾向にあることである。先ずは持株会社である日本郵政から見てゆこう。

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日銀の量的緩和は財務省主導の財政ファイナンスであり、その財務省はこれ以上の追加緩和を望んでいない

量的緩和の為替市場や株式市場に対する効果はこれまで散々議論してきたが、その背景にある政治的意図について詳しく書いたことはなかったと思うので、一度記事にしておきたい。2回目の追加緩和があるかどうかということは、インフレ率やGDP成長率の問題ではなく、政治的問題だからである。

先ず、2013年4月に導入された日銀の量的緩和政策はどのような政治的経緯で決定されたものであったか? これは2012年後半に首相となった安倍氏が緩和的な金融政策を望み、その意向を汲んだ人物として黒田氏を日銀総裁に就任させた。

この時、総裁候補として他に有力であった人物に武藤敏郎氏がいたが、黒田氏と武藤氏に共通する経歴がある。大蔵省出身であるということである。

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世界経済GDP&株式市場比較: 株安の裏で回復する南欧、堅調な英米、増税で沈んだ日本経済

何度も書いている通り、世界の経済大国を見回してみれば、大幅に成長している国はない。中国の景気減退を含めて世界的な需要減を懸念して銅や鉄鉱石など多くのコモディティ価格が大暴落している。

しかしながら、それでも世界のすべての国が低成長であるわけではない。そこで一度、主要国の経済を俯瞰し、投資家にとって何処に利益の機会があるかを探してみたい。

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世界同時株安はいつまで続くのか? 追加緩和をするとすればどの中銀か?

米国の利上げと中国の景気減速への懸念で8月に始まった世界同時株安は一度リバウンドしたものの、その後値を下げ、再び8月24日の安値に近づきつつある。

これまでも言っているように、世界同時株安の原因は、株を買うべき要因が世界的に存在しないことであり、日銀やECB(欧州中央銀行)の追加緩和やFed(連邦準備制度)の利上げ撤回など新たな要素がなければ中長期的な株安は変わらないだろう。

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2015年世界の金融市場: 米国株、欧州株、日本株、金、原油

2015年ももう後半であり、金融市場は金や原油などコモディティ価格の下落、米国の利上げ、中国株の暴落など、様々なトレンドが入り混じる様相を呈している。

これまでの単なる量的緩和相場とは異なる状況であり、単純に中央銀行に従っていれば利益が出るという状況ではない。そこで、ここで一度、世界の金融市場を俯瞰してみたい。個別銘柄よりもマクロ的分析が必要な場面なのである。

米国株

先ず、マクロで見れば米国株は買う理由のない資産クラスである。量的緩和が終わり、利上げを控えていることで、株式から債券への資金流出が懸念されている。ファンダメンタルズで見ればバブルではないが、割高であることは確かである。

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ギリシャデフォルト懸念で円高: ドル円、株式市場、債券市場はどうなるか?

ギリシャが債権団の要求を飲むかどうかについて国民投票を行うと発表したことを受け、ギリシャのデフォルトが現実的となり、日本市場ではリスクオフの円高・株安となっているが、先ずドル円については120円を下回れば買いである。

ギ リシャの経済規模はあまりに小さく、ユーロ圏の1.7%であり、遠く離れた日本の金融市場は勿論、ユーロドルやユーロ圏経済のファンダメンタルズ自体に影響を与えることはできない。したがって、ドル円に関する見方は変わらず、以前書いた通り、115-120での買いは長期的に報われる可能性があるというこ とである。 続きを読む ギリシャデフォルト懸念で円高: ドル円、株式市場、債券市場はどうなるか?

日銀のテーパリング(緩和縮小)に備える投資戦略: 量的緩和バブルは何処から崩壊するか?

周知のように、現在のところ日銀は2%の物価目標が2016年度の始めに達成されるとしており、この言葉を鵜呑みにすれば、遅くとも2016年の初旬には量的緩和の縮小(テーパリング)が議論され始めることになる。

勿論、上記の記事で書いたように、追加緩和なしには物価目標は達成されず、しかも追加緩和は緩和の延長という形で為される可能性が高い。しかし、量的緩和の開始から2年以上が経過した今、日銀が量的緩和の終了に向けて動いた場合に市場がどう動くかを、投資家は考え始めるべきである。

現在の相場では何がバブルで何がバブルではないのだろうか? 株はどうか? 不動産はどうか? 日本国債は暴落するのか? 円は安すぎるのか? 等々、順番に考えてゆきたい。

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米国株急落を考える: 買い下がるべき銘柄、金への資本逃避など

3月の末となったが、米国株が急落している。25日の株式市場でNasdaqは2%以上の下げ幅となり、S&P 500の-1.46%を上回った。26日には日本の株式市場にも波及し、日経平均は1.39%の下落、弱気相場はヨーロッパ市場にも持ち越され、特にこれまで堅調だったドイツ株の下げ幅が大きい。

2015年の金融市場についてはこれまで書いてきた通りであり、大局的な見方に一切変更はないが、為替や商品先物の動きなど、今回の急落で気になる点についていくつか書いておきたい。 続きを読む 米国株急落を考える: 買い下がるべき銘柄、金への資本逃避など