前回に引き続き、世界経済フォーラム(通称ダボス会議)におけるBridgewater創業者レイ・ダリオ氏の発言を追ってゆく。恐らく今回のものが一番重要な発言だろう。
「米国の株式市場」カテゴリーアーカイブ
世界最大のヘッジファンド: トランプ相場で株価上昇は完全に論理的
2017年の世界経済フォーラム(通称ダボス会議)はぱっとしないイベントとなった。普段ならば世界中の富豪たちがプライベートジェットで集い、シャンパンを片手に「世界の中心にいる自分達が今後どう世界を良くしてゆくか」を語らう豪奢な社交の場だったはずなのだが、イギリスのEU離脱やトランプ大統領の誕生で面目を潰された今年のダボスのエリート達の心象には何処か困惑と気まずさが見受けられた。
ジョージ・ソロス氏、トランプ相場空売りで踏み上げられ大損失か
まさか彼がここまで動揺しているものだとは思わなかった。ヒラリー・クリントン氏を支持する金融関係者はアメリカ大統領選挙前に「トランプ氏勝利なら市場暴落」と根拠のない話を吹聴してきたが、ソロス氏はその政治的プロパガンダを本当に信じて空売りを仕掛け、そして踏み上げられたらしい。
トランプ氏、製薬会社は「人殺し」であるとして批判、製薬株急落
1月11日にはオバマ大統領とトランプ次期大統領の会見が行われた。オバマ氏の方は勿論、トランプ氏からも大局的に重要な発言はなかったが、米国株の投資家にとって重要な発言が一つ出た。製薬会社批判である。
実は2012年から全く伸びていない米国企業の純利益
2008年の金融危機の後、紆余曲折はあったものの、米国株は順調に上昇してきた。金融危機を受けてFed(連邦準備制度)が直ちに量的緩和を開始し、経済を下支えしたことで、サブプライムローン問題の震源地であったはずのアメリカは日本やヨーロッパよりも早く景気後退から立ち直った。
米国株も金融危機後の底値から大きく上昇し、やはりアメリカの企業は世界経済の低成長のなかでも利益を増やし続けているのか、という印象を持っている投資家が居たとすれば、実はそうではないことを示すデータを知るべきだろう。
2017年米国株と長期金利見通し、相場観まとめ
2017年は先ず世界の金融市場を俯瞰しなおすことから始めたいと思う。2016年の終盤にはトランプ相場で世界の金融市場は景気回復を織り込む形で推移した。
しかし世界経済は金利上昇という爆弾を抱えている。1980年代のレーガノミクスの頃から金利は下がり続けてきたのであり、経済成長と株高はこの金利の長期下落トレンドに支えられてきたバブルなのである。
こうした状況を踏まえた上で2017年の相場はどうなるのか? 様々な要素が複雑に絡み合う今年の相場では、一つの資産クラスについての予想はほとんど意味を持たないが、先ずは米国株と長期金利について現状分かっていることを纏めたいと思う。
レーガノミクスで減税と公共事業は高金利の悪影響に勝てなかった
アメリカのロナルド・レーガン大統領の経済政策、いわゆるレーガノミクスについて、一度纏めておく必要があるだろうと思ったので、今回の記事で取り上げておきたい。
1981年から1989年まで続いたレーガン政権は、減税と財政出動を最大限行った政権であり、しかもその8年の任期は初期の金融引き締め期とその後の金融緩和期の二つの時期に分けられる。この意味ではレーガン政権は、財政政策が景気刺激としてどれだけ機能するのか、そしてそれは金融緩和なしでも持続可能だったのかという二つの問いに対する実験を実際に行った政権であり、その実験結果は現代の投資家にとっても興味深いものと言えるだろう。
トランプ相場: アメリカの消費者の余力を示す2つの経済指標
前回の記事で報じた通り、世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏は、トランプ政権がアメリカの消費者や企業の購買意欲を喚起する可能性があると指摘している。
一方で、トランプ氏が大統領選挙で勝利するまで、ヘッジファンドマネージャーらの間では先進国の需要減速は慢性的なものであるとの見方が支配的だった。
では、トランプ大統領は本当にマクロ経済的トレンドのすべてを一人でひっくり返してしまうのだろうか? この疑問に答えを出すためには、先ずアメリカの消費者には余力があるのか、そしてその余力を使う気があるのか、という二つの論題について考える必要があるだろう。
レイ・ダリオ氏: トランプ政権は消費者や企業のアニマル・スピリットを喚起する
世界最大のヘッジファンドであるBridgewaterを運用するレイ・ダリオ氏がLinkedInに再び寄稿(原文英語)し、より踏み込んだトランプ政権の批評を行っているので取り上げたい。
ジム・ロジャーズ氏の逆張り投資の歴史を1980年から振り返る
これまで何度も取り上げてきた著名投資家のジム・ロジャーズ氏は、周知の通り逆張り投資家である。ブームになっている市場には目もくれず、投資家に見向きもされない市場、あるいは叩き売られている市場に投資をし続ける。
彼は1973年にジョージ・ソロス氏とクォンタム・ファンドを設立し、途方もないパフォーマンスを叩き出した後、1980年にヘッジファンドを引退、その後は世界一周などをしながら自分の資金を運用する冒険投資家となっている。
彼の逆張りの投資スタイルはその当時からのものである。今回の記事では彼の著書『商品の時代』に書かれた引退後の彼の投資に着目し、ロジャーズ氏の逆張り投資の歴史を紹介してゆきたい。