「株式市場」カテゴリーアーカイブ

ギリシャ国民投票はどうなるか?: 国民投票後の投資戦略

現在の金融市場では、株は高過ぎ、しかし空売りするには早すぎ、債券はバブルであり、為替はイベントがなく、金の買い場はまだ先であるという、グローバル・マクロの投資家にとって日照り続きの状況にあるが、ギリシャの国民投票をめぐる市場の混乱が事態を少し打開するのではないかと考えている。

国民投票は現地時間の7月5日に行われる。本稿では国民投票が債権団の提案に賛成した場合、反対した場合にそれぞれ何が起きるのかを纏め、それぞれの場合にどう投資すべきなのかを記しておきたい。

事前の調査では賛成と反対が拮抗

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ギリシャデフォルト懸念で円高: ドル円、株式市場、債券市場はどうなるか?

ギリシャが債権団の要求を飲むかどうかについて国民投票を行うと発表したことを受け、ギリシャのデフォルトが現実的となり、日本市場ではリスクオフの円高・株安となっているが、先ずドル円については120円を下回れば買いである。

ギ リシャの経済規模はあまりに小さく、ユーロ圏の1.7%であり、遠く離れた日本の金融市場は勿論、ユーロドルやユーロ圏経済のファンダメンタルズ自体に影響を与えることはできない。したがって、ドル円に関する見方は変わらず、以前書いた通り、115-120での買いは長期的に報われる可能性があるというこ とである。 続きを読む ギリシャデフォルト懸念で円高: ドル円、株式市場、債券市場はどうなるか?

日銀のテーパリング(緩和縮小)に備える投資戦略: 量的緩和バブルは何処から崩壊するか?

周知のように、現在のところ日銀は2%の物価目標が2016年度の始めに達成されるとしており、この言葉を鵜呑みにすれば、遅くとも2016年の初旬には量的緩和の縮小(テーパリング)が議論され始めることになる。

勿論、上記の記事で書いたように、追加緩和なしには物価目標は達成されず、しかも追加緩和は緩和の延長という形で為される可能性が高い。しかし、量的緩和の開始から2年以上が経過した今、日銀が量的緩和の終了に向けて動いた場合に市場がどう動くかを、投資家は考え始めるべきである。

現在の相場では何がバブルで何がバブルではないのだろうか? 株はどうか? 不動産はどうか? 日本国債は暴落するのか? 円は安すぎるのか? 等々、順番に考えてゆきたい。

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米国株急落を考える: 買い下がるべき銘柄、金への資本逃避など

3月の末となったが、米国株が急落している。25日の株式市場でNasdaqは2%以上の下げ幅となり、S&P 500の-1.46%を上回った。26日には日本の株式市場にも波及し、日経平均は1.39%の下落、弱気相場はヨーロッパ市場にも持ち越され、特にこれまで堅調だったドイツ株の下げ幅が大きい。

2015年の金融市場についてはこれまで書いてきた通りであり、大局的な見方に一切変更はないが、為替や商品先物の動きなど、今回の急落で気になる点についていくつか書いておきたい。 続きを読む 米国株急落を考える: 買い下がるべき銘柄、金への資本逃避など

2015年の相場はブラックマンデーに似ているか?

さて、前回はブラックマンデーに至るまでの政治的・経済的背景を説明したので、今回は2015年の相場がブラックマンデー当時に似ているのかどうかについて検証したい。 続きを読む 2015年の相場はブラックマンデーに似ているか?

ドイツだけが量的緩和バブルを軟着陸させられるかもしれない

ギリシャなどが無茶な要求を始めたことで、ユーロ圏におけるドイツの負担は日々増しているように見えるが、それでも最終的に利益を得るのは経済が強いドイツである。

何度も書いてきたように、量的緩和とは中央銀行が国債などリスクの低い証券を買い占めることで、家計や保険会社などを国債市場から追い出し、社債や不動産、株式など、よりリスクの高い証券に資金を移させるポートフォリオ・リバランス政策である。

これは、量的緩和が行われている限りは、流動性が潤沢な債券市場から株式市場へと資金が溢れ出てくる構図となるが、中央銀行が債券市場から撤退するや否や、債券と株式が資金を求めて争い合う綱引きの様相となり、したがってこのバブルのツケは何処かの市場がいずれ払わなければならない。 続きを読む ドイツだけが量的緩和バブルを軟着陸させられるかもしれない

ユーロ圏の人々が通貨安回避のために買う通貨・銘柄は?

ユーロの下落が止まらない。前回の記事に書いた通り、ユーロは下落を続けており、1つの理由は、ユーロ圏の人々が通貨安によって自分の資産が損なわれてゆくのを回避するため、ユーロ圏の人々がユーロを売っているからだと推測している。日銀が量的緩和を始めた時のジョージ・ソロスのコメントを引用しよう。

円が下落し始めれば、日本国民は円が下がり続ける可能性が高いと気付き、自分たちの資金を海外に移そうとするだろう。そうすれば、円は雪崩を打って下落する可能性がある。(CNBCによるインタビュー)

これは、日本国民の国民性を考慮していなかったために正しくなかったが、今回のユーロ圏の量的緩和には非常によく当てはまっていると言える。この文化的な背景については前回の記事に書いたが、ではヨーロッパ人はユーロ安から逃れるために何を買っているのか? いくつかの候補を挙げてみよう。 続きを読む ユーロ圏の人々が通貨安回避のために買う通貨・銘柄は?

2015年、米国利上げまでの投資戦略

Fed(連邦準備制度)による 量的緩和が2014年に終了し、2015年の中旬には利上げを控えているにもかかわらず、米国の株式市場は連日史上最高値付近で推移している。サウジアラビアが最近の原油価格の小反発を歓迎する意向を表明したことから、60ドル前後の原油価格が受け入れられたと考え、米国の個人消費の回復はますます揺るがないものになりつつある。

しかし、それでも利上げは歴史上何度も金融市場の暴落を引き起こしてきたイベントであり、米国株を保有する投資家は心の何処かで自分の買い持ちを心配している。

株式市場はこのまま利上げまで問題なく上昇するのだろうか? これは買い方も売り方もどちらも抱えている疑問であり、それぞれの答えがあるだろうが、先ずはおよそ考えられるシナリオを列挙してみたい。以下の3つである。 続きを読む 2015年、米国利上げまでの投資戦略

Form 13F: ソロス氏、アインホーン氏は米国株空売りを拡大か

毎四半期恒例、SEC(米国証券取引委員会)によりForm 13Fが公開され、機関投資家の2014年末時点での米国株のロングポジションおよびオプションの買いポジションが公開された。

Form 13Fは1ヶ月半遅れでのポジションの公開であり、かつ空売りや先物のポジションは公開されないので、これだけを見てどのファンドが米国株を買っているとか売っているとか言えるものではないのだが、同業者であれば、現物の買いポジションを見るだけでも、そのポートフォリオに秘められた考えのいくつかは読み取れるものであり、その投資原則が短期的に変わるものでなければ、そのファンドがどの銘柄を今も持っているか持っていないかは大体分かるものである。

さて、2014年の4Qであるが、Form 13F以外の情報も含めて主だったものを纏めてみたい。 続きを読む Form 13F: ソロス氏、アインホーン氏は米国株空売りを拡大か

グローバル・マクロのポートフォリオ構成比率公開、2015年2月

ユーロ圏の量的緩和もようやく通過し、市場は面白い材料に欠けているというのは事実であると思うので、この辺りでポートフォリオの構成比率の公開をしてみたい。ここまでは個別銘柄の紹介などをやってきたが、いつも言及している例の記事で書いたリスク要因によって、ここから先は個別銘柄の選択よりもポートフォリオ全体の構成が重要だからである。

銘柄の保有比率は毎日微妙に調整しているため、リアルタイムの厳密な数字ではなく、2月に入ってからの平均値をおおまかに示したものだが、ポートフォリオの方針は読み取ることができると思う。先ずは銘柄の構成比率からである。 続きを読む グローバル・マクロのポートフォリオ構成比率公開、2015年2月