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債権団がギリシャへの最後の要求を公開: ギリシャは恐らくデフォルトを選択する

ギリシャが債権団への服従かデフォルトかを決める7月5日の国民投票を控え、状況は荒れている。6月28日、欧州委員会は、交渉決裂前にギリシャに提示していた、支援継続のための条件を開示(英語)した。

本稿では主要部分を翻訳して以下に記したが、こんなものを受け入れればギリシャは本当に死んでしまう。

しかも前文には「透明性とギリシャ国民への情報提供のために」と書かれている。国民投票の判断材料としてこれを公開したということは、彼らは本気でこれが寛大な条件だと考えているということである。 続きを読む 債権団がギリシャへの最後の要求を公開: ギリシャは恐らくデフォルトを選択する

ギリシャ問題に関する債券王ビル・グロス氏の発言一覧

ついに国民投票が決定したギリシャの債務問題について、ジャナス・キャピタルのTwitterアカウントより著名債券投資家ビル・グロス氏が何度か発言しているので、以下にまとめたい。

また、ギリシャ問題については以下の記事も参考にしてほしい。

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ギリシャがデフォルトとユーロ圏離脱をかけて国民投票: ドイツは金を払うべきである

欧州にとって幸か不幸か、ドイツの政治家は経済が何も分かっていなかったようである。

6月27日、ギリシャのツィプラス首相は、債権団の要求を飲むかどうかについて、7月5日に国民投票を行うと発表した。投票においてギリシャ国民が債権団の要求を拒否した場合、ギリシャは債権団の支援を受けることが出来なくなるため、実質的には服従かデフォルトかを問う国民投票である。

余りに少ないギリシャへの見返り

問題の発端は、年金制度の改革や消費増税などを盛り込んだ債権団の要求に対して、ギリシャへの見返りが今年11月までの資金繰りの支援だけであったことである。 続きを読む ギリシャがデフォルトとユーロ圏離脱をかけて国民投票: ドイツは金を払うべきである

速報: 2015年4-6月期Micron決算は予想下回る

2015年6月25日、半導体製造メーカーのMicron Technology (NASDAQ:MU)は決算を発表した。売上高は$3,853MM、純利益は$491MM、一株当たり純利益は$0.46となり、市場予想の売上高3,900MM、一株当たり純利益$0.57を下回った。

事前より指摘されていたPCセクターの需要減が重しとなった。速報なので要点だけ説明するが、縮小されるべきセクターが縮小され、伸びるべきセクターが伸びるという、Micronの長期的な運命を象徴する決算であった。 続きを読む 速報: 2015年4-6月期Micron決算は予想下回る

2015年1Q、日本のGDP内訳: 消費増税後の落ち込みから回復せず、将来への不安を示す

さて、いよいよアベノミクスの成否が明らかになってきたという感じだろうか。

5月20日、内閣府は2015年1-3月期のGDP速報値を発表した。実質GDPは前年同期比で-1.45%のマイナスと、消費増税後の落ち込みから脱し切れていない日本経済の姿が浮き彫りとなった。

2015-1q-japan-real-gdp-growth

グラフでは前回のGDP分析と合わせるために前年同期比で見ているが、注意すべきは比較対象の2014年1-3月期は増税前の駆け込み需要で好調だった四半期であるということである。これを考慮すれば実体としては-1.45%というほど悪いわけではないが、日本経済の一番の問題は、成長要因をすべて使い果たした後にこの数字ということである。内訳を見てゆこう。 続きを読む 2015年1Q、日本のGDP内訳: 消費増税後の落ち込みから回復せず、将来への不安を示す

Form 13F: ソロス氏は米国株暴落を警戒、アインホーン氏も空売り拡大へ

2015年1QのForm 13Fが公開され、機関投資家の3月末における買いポジションが明らかになった。詳細は以下に見てゆくが、引き続き、米国株の暴落を警戒していることが読み取れる。

ソロス氏、アインホーン氏ともに米国株に弱気

先ず、ソロス氏のポートフォリオではS&P 500のプット・オプションが復活しており、11億ドルのポジションとなっている。2014年3Qでは22億ドル、4Qではポジション解消となっていた。

ソロス氏を含め、グローバルマクロの投資家がヘッジ売りをするときにはS&P 500先物の空売りを主に使うため、ソロス氏は、Form 13Fには現れない先物の売りと、上記のプットの買いを織り交ぜながら、臨機応変にポジションをヘッジしているものの、米国株暴落への警戒感そのものは引き続き変わっていないということだろう。 続きを読む Form 13F: ソロス氏は米国株暴落を警戒、アインホーン氏も空売り拡大へ

個別株: ドイツの空港保有会社Fraportは原油安で好決算、米保険会社のLincoln Nationalは債券安で堅調

5月7日、フランクフルト国際空港などを保有・運営するドイツのFraport (XETRA:FRA、Google Finance)は2015年1-3月期の決算を発表、売上高は前年比10.8%増の5.8億ユーロ、純利益は前年比76.7%増の1060万ユーロとなった。決算を受けて7日の株式市場では3.8%高で取引を終えた。以下の紹介記事の時点より9.7%上昇したことになる。

決算の内容としては、原油安による世界的な航空旅客増加の恩恵を受けた形となる。旅客数が前年比2.7%増となったフランクフルト国際空港に加え、70.01%を保有するペルーのリマ国際空港では8.6%の増加、24.5%を保有する西安国際空港では17.6%の増加、10%を保有するインドのデリー国際空港では13%の増加となった。 続きを読む 個別株: ドイツの空港保有会社Fraportは原油安で好決算、米保険会社のLincoln Nationalは債券安で堅調

2015年1Qの米国GDPは堅調続く、原油関連は弱いが輸出に回復の兆し

4月29日に2015年1-3月期の米国GDP速報値が発表された。報道では前期比年率の悪さばかりが報道されているが、前年同期比で見れば2.99%の実質成長と、米国経済の力強さが衰えていないことが確認され、実際ドルも対ユーロを除いて上昇した。

以下に米国GDP成長率の推移を示したグラフを掲載し内訳を見てゆくが、数値はいつもの通り前年同期比である。報道では通常「季節調整済み前期比年率」が使われるが、個人的に統計処理による季節調整を信じていないというのと、また前期が冬場であったため、原油安という特殊要因を誤差なく見極めるためには統計処理に頼らない前年同期比が良いのである。

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バーナンキ氏ブログ: どうして金利はそれほど低いのか

いくつかのニュースでも報じられているように、Fed(連邦準備制度)前議長のベン・バーナンキ氏がブログを開設している。議長時代には言いたいことを言えなかったこともあってか、かなり饒舌に語っており、本人曰く「ようやくFedウォッチャーに監視されることなくコメントできる」だそうである。

Fedの仕事は98%が対話、2%が政策実行だったとも語っており、発言1つするにしても非常に気を遣ったのだろうと思う。しかし、引退した今は彼も民間人であり、自由に経済批評ができると思いブログを始めたのだろう。

現在9つの記事が投稿されているが、本稿では先ず、彼のブログ最初のエッセイ、「どうして金利はそれほど低いのか(Why are interest rates so low?)」を和訳して取り上げたい。 続きを読む バーナンキ氏ブログ: どうして金利はそれほど低いのか

FOMCは「忍耐強く」を削除: 発表後の投機筋のドル売りを実需が飲み込む

3月18日のFOMC(連邦公開市場委員会)で、Fed(連邦準備制度)は、利上げまで忍耐強く(patient)いるとの議事録の文言を削除し、6月の利上げを可能にした。一方で、経済とインフレ率の見通しを下方修正することでハト派的な姿勢も表明した。議事録の文言と発表後の市場の動きのそれぞれをレビューする。より重要なのは市場の動きの方である。

利上げは6月以降だが、時期は未定

文言の解釈にはテクニカルな要素が色々あるが、先ず、「忍耐強く」の語は「2ヶ月後まで利上げはしない」の意味であり、これを削除したということは、6月の利上げがありうるということである。 続きを読む FOMCは「忍耐強く」を削除: 発表後の投機筋のドル売りを実需が飲み込む