「商品市場」カテゴリーアーカイブ

米国利上げが延期になれば日銀の追加緩和の時期はいつになるか? ドル円と金価格はどうなる?

さて、世界中の金融政策が微妙な状況となってきた。大筋ではトレンドがほとんど変わっていない米国の雇用統計にもかかわらず、Fed(連邦準備制度)は利上げをするかどうかを曖昧にしている。彼らはより良い経済指標を待っているのか? 個人的な推測によれば、そうではない。Fedは恐らくある程度の株安を望んでおり、それが持続することを目指しているのである。

これらの記事で説明したように、Fedの目的が利上げそのものではなく株安そのもの、つまり量的緩和バブルのガス抜きであるならば、株安が継続する限り今年中の利上げは必ずしも必要ではないということになる。その場合、ドル円や金はどうなるだろうか? 利上げの延期は日銀の追加緩和にも影響するのか? 今回の記事ではこれらの点について考察したい。

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ジム・ロジャーズ氏: 原油安はもうすぐ反転する

ジム・ロジャーズ氏が珍しくも市場の短期的な動きを予測している。ブルームバーグ(原文英語)によれば、OPECがいまだ大量の原油を産出し、中国の景気は減速しており、米国では在庫が積み上がっている状態で45ドル程度のレンジ相場を続けている原油について、ジム・ロジャーズ氏は以下のように述べている。

ある銘柄について悪いニュースが出たにもかかわらず、その銘柄が下がらなければ、通常それは底入りを示す兆候であり、反発が近いということだ。原油について底入りが近いのかどうかはまだ分からないが、わたしはこの動きを注視している。

また、原油の需給については次のように述べている。 続きを読む ジム・ロジャーズ氏: 原油安はもうすぐ反転する

ジム・ロジャーズ氏が中国経済とコモディティ市場の暴落を語る: 金、原油、中国株

米国の利上げが近づくにつれて、金や原油などコモディティ市場が暴落している。債券投資家のビル・グロス氏などは商品価格の下落に長期的なデフレ圧力を見、また、ここの記事でも商品市場暴落の意味するものを説明してきた。

しかし、フォーブスによるインタビュー(英語)によれば、ジム・ロジャーズ氏はコモディティ市場の超長期的な上昇サイクルは終わっておらず、現在の下げ相場は一時的な調整だと見ている。また、ロジャーズ氏は中国株を保有していることでも知られており、記者からは中国株の上昇とコモディティ価格の上昇が両立するのかという疑問が投げられた。彼はこう答えている。

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債券王ビル・グロス氏が商品市場暴落と米国利上げを語る

債券投資家のビル・グロス氏がブルームバーグのインタビュー(英語)で、商品市場暴落の意味、米国の利上げとその後の金融市場について語っている。グロス氏は、世界経済に蔓延するデフレ圧力にもかかわらず、Fed(連邦準備制度)は利上げをしたがっていると指摘する。

デフレの気配がしており、CRB商品指数はもはやリーマン・ブラザーズが倒産したときよりも低くなっている。商品市場は世界経済の本当の姿を伝えてくれる。リアルタイムの需要と供給を反映しているからだ。

この論点は、奇しくもこのインタビューの一日前にここで公開した前回の記事とほとんど同じである。わたしのほうが早いので、真似をしたわけではないのだが、世界の市場を見ている投資家の考えることは皆同じということである。

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2015年商品市場大暴落の原因と影響: 金、原油、天然ガス、銅、鉄鉱石

コモディティ市場の下落が止まらない。米国の利上げが近いことによるドル高と、中国の景気減退懸念と言えばもっともらしいが、以下の2つの点で強い違和感がある。

  • 量的緩和を行っている円やユーロで見ても大幅な下落である
  • 米国の量的緩和前の水準まで下落してきている

米国は確かに大規模な量的緩和を停止したが、米国は買い入れた債券を放出しておらず、まだ利上げもしていないのである。

この時点でもし日本とユーロ圏が量的緩和を停止すれば商品価格は更なる暴落を迎えそうであり、そうなれば世界中で量的緩和を行ったらデフレになったなどということになりかねない。非常に奇妙な事態が起きているのであり、投資家は合理的な説明を考える必要がある。

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2015年世界の金融市場: 米国株、欧州株、日本株、金、原油

2015年ももう後半であり、金融市場は金や原油などコモディティ価格の下落、米国の利上げ、中国株の暴落など、様々なトレンドが入り混じる様相を呈している。

これまでの単なる量的緩和相場とは異なる状況であり、単純に中央銀行に従っていれば利益が出るという状況ではない。そこで、ここで一度、世界の金融市場を俯瞰してみたい。個別銘柄よりもマクロ的分析が必要な場面なのである。

米国株

先ず、マクロで見れば米国株は買う理由のない資産クラスである。量的緩和が終わり、利上げを控えていることで、株式から債券への資金流出が懸念されている。ファンダメンタルズで見ればバブルではないが、割高であることは確かである。

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金価格急落: 価格の下落自体は既定路線も原因に新たな要素あり

さて、金価格の下落が始まったようである。2015年に入ってから概ね1150-1250ドルのレンジで推移していた金価格は、7月に入り徐々に下がり始め、20日には遂に1100ドルを割り込んだ。まだ暴落とは言えないが、ここ最近では見ていない急落ではある。

以前にも書いた通り、金価格の下落は米国の利上げ前の既定路線であるが、新たな要素として、今回の急落には米国だけではなく中国の景気減速も絡んでいるので、上記の記事に書いた買い下がりのレンジの見直しなども含めて、金の今後について書いてゆきたい。

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金はいつ買うべきか?: 2015年以降の金融市場暴落を逃れるために

米国の量的緩和によって2012年に史上最高値1,921ドルを記録した金の価格上昇は、Fed(連邦準備制度)の量的緩和終了とともに終わりを告げ、金は2013年から2015年にかけて急落、1,200ドル前後まで値を落としている。金は、金融緩和によって通貨が価値を下げるときに買われ、そして通貨の価値が戻るときに売られるのである。

量的緩和を既に停止した米国に続き、日本の量的緩和も2年の期間の半分が終了した。ユーロ圏の量的緩和も2016年の9月が目処である。それでは2015年以降の金価格はどうなるのか? 金は更に下落するのか? 答えは条件付きのイエスである。すなわち、世界的な量的緩和が無事に出口を迎えれば、金の価格は更に下落するだろう。しかしながら、その前提が不可能であることは、これまで何度も記事にしてきた。 続きを読む 金はいつ買うべきか?: 2015年以降の金融市場暴落を逃れるために

原油安はいつまで続くのか? 原油安をトレードする5つの方法

原油安に関する詳細な記事を書こうと考えていたら、ロイターにほとんど同じ内容の記事が載ったので、詳細はそちらに譲り、原油安に関する要点と、そして投資家はどのようにトレードすべきかについて書きたいと思う。

記事にもある通り、底値がいくらかという問題はさておき、原油安がどれくらい続くのかという問題は予測が比較的容易である。サウジアラビアがシェールオイル産業の一掃に本気である限り、その目的が達成されるまでは減産を行うことはないだろう。したがって、米国のシェール産業が実際に深刻なダメージを受けるまで、原油価格が反発する可能性は低い。 続きを読む 原油安はいつまで続くのか? 原油安をトレードする5つの方法

原油価格の急反発リスクを米保険株買いでヘッジする

原油価格が低迷している。サブプライム・ローン危機以降、平均して100ドル前後で推移してきた原油先物は、複数のマクロ要因で急落し、米国のWTI原油先物、英国のブレント原油先物ともに60ドルを割る勢いで取引されている。

原油価格の下落は世界経済には当然プラスであり、産油国サウジアラビアの動きを見るかぎり、この傾向は当分続くだろう。しかし、原油安が米国株の上昇に織り込まれていることや、日銀の金融政策に影響を及ぼしていることを考えれば、原油先物そのものを取引していない投資家にとっても、原油価格の行く末、とりわけ急反発の可能性を考えることは重要である。 続きを読む 原油価格の急反発リスクを米保険株買いでヘッジする