ギリシャ国民投票はどうなるか?: 国民投票後の投資戦略

現在の金融市場では、株は高過ぎ、しかし空売りするには早すぎ、債券はバブルであり、為替はイベントがなく、金の買い場はまだ先であるという、グローバル・マクロの投資家にとって日照り続きの状況にあるが、ギリシャの国民投票をめぐる市場の混乱が事態を少し打開するのではないかと考えている。

国民投票は現地時間の7月5日に行われる。本稿では国民投票が債権団の提案に賛成した場合、反対した場合にそれぞれ何が起きるのかを纏め、それぞれの場合にどう投資すべきなのかを記しておきたい。

事前の調査では賛成と反対が拮抗

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ユーロ問題の文化的背景: ドイツの外交音痴が治らない限りユーロ圏はギリシャ問題を何度でも繰り返す

ユーロ問題の経済的背景については何度も書いてきたから、今回はその文化的背景について書いておこうと思う。メインテーマはドイツの外交的・歴史的立場についてである。

ヨーロッパ文化におけるドイツ

古来よりヨーロッパ文化の中心はイタリアであり、フランスであり、イギリスであった。ヨーロッパの料理はイタリアを起源とするものであり、フランス人がそれを継承してイギリスの宮廷に持ち込んだ。ドイツやオーストリアでも、宮廷ではフランス料理が振る舞われた。

音楽ではモーツァルト、ベートーヴェンの時代においてもイタリアのオペラが尊敬されていた。モーツァルトのオペラにイタリア語のものとドイツ語のものがあるのは、彼の時代においても、ドイツ語は歌謡としてはあまりに粗野であるという認識が、ドイツ語圏の宮廷内にあったためである。 続きを読む ユーロ問題の文化的背景: ドイツの外交音痴が治らない限りユーロ圏はギリシャ問題を何度でも繰り返す

ギリシャ問題、ツィプラス首相の発言一覧 (6/29)

国民投票を7月5日に控え、ギリシャのツィプラス首相がTwitterにてギリシャ国民と全世界に向けてコメントを発信している。現地時間で6月29日の分を以下に抜粋して翻訳してゆく。

ギリシャ国民はこれまでの債権団との経緯について自分の意見を表明する。その声は聞き届けられるだろう。

ツィプラス首相は国民投票の結果を債権団との交渉材料として使いたいようである。以下のコメントを見よう。 続きを読む ギリシャ問題、ツィプラス首相の発言一覧 (6/29)

ギリシャデフォルト懸念で円高: ドル円、株式市場、債券市場はどうなるか?

ギリシャが債権団の要求を飲むかどうかについて国民投票を行うと発表したことを受け、ギリシャのデフォルトが現実的となり、日本市場ではリスクオフの円高・株安となっているが、先ずドル円については120円を下回れば買いである。

ギ リシャの経済規模はあまりに小さく、ユーロ圏の1.7%であり、遠く離れた日本の金融市場は勿論、ユーロドルやユーロ圏経済のファンダメンタルズ自体に影響を与えることはできない。したがって、ドル円に関する見方は変わらず、以前書いた通り、115-120での買いは長期的に報われる可能性があるというこ とである。 続きを読む ギリシャデフォルト懸念で円高: ドル円、株式市場、債券市場はどうなるか?

ギリシャが資本統制、銀行と株式市場は月曜開かず

英語版Reuters(その1その2)によれば、ギリシャは資本統制を実施するようである。6月29日月曜日は銀行が休みとなり、株式市場も開かない。その間に資本統制の準備を整えるのだろう。

銀行がいつまで休みになるかなどの詳細については明らかになっていない。正式な声明は現地時間の28日夜の政府会合後に発表されるようである。

ツィプラス首相曰く、これはECBがギリシャの銀行への流動性供給を縮小したために余儀なくされた措置である。恐らくは、1日か2日銀行を休みにして、その間に預金引出を制限する法案を通すのだろう。 続きを読む ギリシャが資本統制、銀行と株式市場は月曜開かず

債権団がギリシャへの最後の要求を公開: ギリシャは恐らくデフォルトを選択する

ギリシャが債権団への服従かデフォルトかを決める7月5日の国民投票を控え、状況は荒れている。6月28日、欧州委員会は、交渉決裂前にギリシャに提示していた、支援継続のための条件を開示(英語)した。

本稿では主要部分を翻訳して以下に記したが、こんなものを受け入れればギリシャは本当に死んでしまう。

しかも前文には「透明性とギリシャ国民への情報提供のために」と書かれている。国民投票の判断材料としてこれを公開したということは、彼らは本気でこれが寛大な条件だと考えているということである。 続きを読む 債権団がギリシャへの最後の要求を公開: ギリシャは恐らくデフォルトを選択する

ギリシャ問題に関する債券王ビル・グロス氏の発言一覧

ついに国民投票が決定したギリシャの債務問題について、ジャナス・キャピタルのTwitterアカウントより著名債券投資家ビル・グロス氏が何度か発言しているので、以下にまとめたい。

また、ギリシャ問題については以下の記事も参考にしてほしい。

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ギリシャがデフォルトとユーロ圏離脱をかけて国民投票: ドイツは金を払うべきである

欧州にとって幸か不幸か、ドイツの政治家は経済が何も分かっていなかったようである。

6月27日、ギリシャのツィプラス首相は、債権団の要求を飲むかどうかについて、7月5日に国民投票を行うと発表した。投票においてギリシャ国民が債権団の要求を拒否した場合、ギリシャは債権団の支援を受けることが出来なくなるため、実質的には服従かデフォルトかを問う国民投票である。

余りに少ないギリシャへの見返り

問題の発端は、年金制度の改革や消費増税などを盛り込んだ債権団の要求に対して、ギリシャへの見返りが今年11月までの資金繰りの支援だけであったことである。 続きを読む ギリシャがデフォルトとユーロ圏離脱をかけて国民投票: ドイツは金を払うべきである

速報: 2015年4-6月期Micron決算は予想下回る

2015年6月25日、半導体製造メーカーのMicron Technology (NASDAQ:MU)は決算を発表した。売上高は$3,853MM、純利益は$491MM、一株当たり純利益は$0.46となり、市場予想の売上高3,900MM、一株当たり純利益$0.57を下回った。

事前より指摘されていたPCセクターの需要減が重しとなった。速報なので要点だけ説明するが、縮小されるべきセクターが縮小され、伸びるべきセクターが伸びるという、Micronの長期的な運命を象徴する決算であった。 続きを読む 速報: 2015年4-6月期Micron決算は予想下回る

ギリシャがデフォルトすればユーロはどうなるか?

後日(6月28日)の記事:


さて、ギリシャ問題が瀬戸際である。ギリシャは6月30日にIMFへの約15億ユーロの返済期限を迎え、IMFは資金が支払われない場合デフォルトと見なすと宣言している。ギリシャは債権団の支援がなければこの支払いが不可能な状況にある。

個人的には、ギリシャがユーロ圏を離脱する事態になるとは思っていない。ドイツがそれを望んでいないからである。ドイツ人の欧州統一への意欲は外国人には理解しがたいほどであり、その根底には第二次世界大戦とそれ以前のドイツの歴史がある。

しかしながら、投資家としては離脱の可能性と、その場合ユーロがどうなるのかを考えないわけにはゆかないだろう。今後考えられるシナリオを順に考えてゆこう。 続きを読む ギリシャがデフォルトすればユーロはどうなるか?

世界の金融市場における分析と実践